宮崎は季節の変わり目を迎えており、天候が目まぐるしく変化しています。晴れたと思ったら土砂降り、傘をさしたら日光が射す、といった感じです。今日も朝からぐずついた天気。
よく変化しやすいものとして「女心と秋の空」などと言いますが、女性にとっては大変不名誉な言われようです。一体いつの時代から使われていた言葉なのか気になったので、手元にあった『広辞苑第五版(1998年発行)』で調べてみると、「変わりやすいことのたとえ。古くは『男心と秋の空』」と書いてありビックリ。男心も変わりやすいのか?みんな永遠に幸せになれないじゃないか!!試しに『広辞苑第四版(1991年発行)』を調べてみると、「女心と秋の空」という記述はなく、「男心と秋の空」を調べてみると、前述の意味での記述がありました。「女心と秋の空」ということわざが定着したのは比較的最近のことなのかもしれません。一方、「男心」という言葉には、「男らしい心持」というポジティブな意味と「男の浮気な心」というネガティブな意味が存在し、「男心と秋の空」はもちろん後者の意味で用いられています。
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もう少し詳しく知るために『岩波ことわざ辞典(2000年発行)』で「女心と秋の空」を調べてみると、「男に対する女の愛情は、秋の空のように変わりやすいというたとえ。男の側から女心の変わりやすさを秋空になぞらえた語句だが、古くは『男心と秋の空』と、『女心』ではなく『男心』が主だった」と書かれており、古い用例だと御伽草子の『あきみち(室町時代中期以後の物語)』や狂言の『墨塗』、俳書の『毛吹草(江戸時代前期)』に見られるそうです。
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一方で、「女心~」の表現も『尾張俗諺(1794年)』や明治時代の辞典にも収載されているらしく、男女両方の側からの浮気を責める言葉として昔から存在していたようですが、数の上では「男心~」タイプが圧倒的に優位でした。
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『岩波ことわざ辞典』の著者である時田昌瑞さんは、「男心~(女性から男性への恨み節)」から「女心~(男性から女性への恨み節)」へと時代を経て変化した理由として、「男女の力関係の変化によるのであろうか」と推測しています。最近の女性は強くなり、男性との関係性も気の向くままにキッパリスッパリ選択するようになって、その結果あっさりふられた男性の恨めしい心情が言葉の変化を生んだのでしょうか。言葉って面白いですね。
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さて、そんな調べ物がぱっとできる施設と言えば大学図書館です。雨も降っていることですし、今日は大学図書館事務局内の意外と知られていない内部情報を少し紹介していきたいと思います。
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図書館司書の仕事と聞いて皆さんがまず思い浮かべるのは、映画「耳をすませば」で主人公のお父さんがのんびり本棚を整理している風景でしょうか。実際に本棚に本を返却したり番号順入れ替えたりする仕事もありますが、我々の仕事の50%は日々刊行される大量の本や雑誌を選び、入荷し、図書館システムに登録し、探しやすいように分野ごとに番号をふり、何年もの使用に耐えられるようテープなどで補強して、本棚に並べることです。2008年度に本学図書館が受け入れた図書数は4048冊にのぼり、単純に開館日数230日で割ると、毎日18冊の本を入荷している計算になります。写真は一心不乱にシステム入力する図書館スタッフカワゴエさんです。
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大量の図書を入荷するためには、大量の図書を選ぶ必要があります。本学図書館では、先生方にそれぞれの専門領域の図書を選定してもらうほか、学生のリクエストも受け付けています。そして、図書の領域や量のバランスを見ながら、我々司書も選定しています。1年間に販売される新刊書は約6万5千冊(2007年1月~12月、『BOOK PAGE 本の年鑑2008』)もありますが、これらすべてを買うお金はもちろんありませんし、すべての本が本学に必要なわけでもありません。そして6万5千冊すべてに目を通すことはできません。そこで、我々は大学のカリキュラムを念頭に置いて、著者の過去の業績や出版社の実績、索引や文献目録の有無など、様々なデータで図書を評価し、入荷する本を絞り込んでいきます。その他にも様々なツールやメディアを参考にしますが、最も使用頻度が高いのは『週刊読書人』に毎週掲載されている「日本図書館協会選定図書週報」です。これは、図書館員や教師、大学や研究所の教官、研究者、学識経験者などで構成される約50名の選定委員が、1週間に1度の割合で「どの本が図書館に適しているか」を判断する選定委員会を開催し、委員は自分の専門領域の本を一冊一冊審査して、A(適書)、B(準適書)、C(要調査)、D(不適)の4段階にランクづけした上で、AとBの本だけが選定図書として指定されたものです。この中から、本学のカリキュラム上必要な図書、蔵書が不足している領域の図書などをピックアップしていきます。
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その他にも、学生の調べ物や研究の相談に乗ったり、先生方の論文を冊子にして刊行したり、それらを電子化してデータベースに登録したり、ブックレビューを書いたり、先生方と図書館の方針を協議する会議を開いたり、新聞や雑誌を製本したり、入荷した資料の会計手続きをしたり、その他にも数え切れないほどの様々な業務があります。そんな忙しい中でも我々が目指しているのは、もっと「アットホームな図書館」を創っていくことです。仲のいい学生もたくさんいて気軽に相談してくれますが、まだまだ図書館を遠くに感じている学生もいるはず。現在の図書館専任司書2名はどちらも関西出身の熱い男なので、何かわからないことがあれば遠慮なく声をかけてください。とことん相談に乗ります!!
以上、大学図書館に終わらない青春を捧げる男コバヤシがお送りいたしました。